ブックタイトルICHINOMIYA Clip【一宮クリップ】vol.04
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千葉県長生郡一宮町に定住・移住したい方々を支援する情報です
Published:2011.10.31お名前:秋山章男さん76歳元東邦大学理学部教授ご家族:奧さま70代主婦愛犬一宮町人:1979年~先住地:千葉県船橋市一宮町に移住することになった経緯は?最初は南極の生き物の研究をしていましたがそう度々は行けませんので、東京湾にある“干潟”の研究をはじめました。開発で徐々に埋め立てられ、それが社会的な問題にもなっていてマスコミの取材などもすごく増えていましてね。これでは落ち着いて研究もできないと、新たなフィールドを探していたところ、環境庁(現・省)からの依頼もあって全国の干潟を調べたのです。関東地区では7~8箇所調べて、その中で一宮川の干潟が一番良かったのです。生き物がすごく豊富で、面積が小櫃川(おびつがわ)の盤州干潟や三番瀬ほど広くないので、組み立てた研究ができるのではないかと。調査には1972~73年頃から来るようになりました。でも、学生を連れて宿やテントもお金がかかるので、それなら僕が住んでしまおう!と。1979年、今から32年も前のことです。一宮川の河口干潟はとても貴重な場所なのですね?別名「渡り鳥の国際空港」とも呼ばれているくらいですから。象徴的なのは北極から南極まで地球規模で渡りをする“ミユビシギ”の最大の飛来地がここだということです。ミユビがゆっくり休めるような空間的な広がりがある河口の干潟というのは九十九里の中でもここしかない。川はいくつかあるのですが、一宮川のように蛇行して海に注いでいる川はない。だからあれが生命線なのです。日本の太平洋岸を見てもそういう形が残っているのは宮城県の蒲生干潟くらいなので、日本屈指の貴重な干潟と言えるでしょう。ミユビだけでなく多くの渡り鳥の中継地点になっていますから、鳥の写真を撮りにくる人も多いですよね。でも、地元の人達はそのことをあまり知らないようです。干潟以外にもフィールドや対象が広がっているようですが?干潟をやっているとすぐ側に砂浜があります。渡り鳥は多いし、アカウミガメが上陸産卵する北限ですし。イルカもいる。それで対象が砂浜や海の方にも広がって…。毎日海岸を歩いてましたね。距離としては5~6キロなのですが、毎日新しい発見があるから飽きない。そういう体験をするともうやめられないですよ。この30余年間、一宮の自然は変わりましたか?その質問は一番難しい。一口に自然といってもいろいろあるし、どの生き物を見るかによっても変わってきますから。ある面では変わってないという答えと、ある種では減ったとか、ある生き物は増えているということもあるので。例えばミユビシギですが、私の調べているかぎりでは減っていません。環境は確かに悪化してますけれど、ミユビシギという鳥は順応能力がすごく高い。ある一つの食べ物だけに固執しない。主食として考えられるヒメスナホリムシという生き物が少なくなっても、魚をつついて食べることもできるし、ゴカイを食べることもできる。多様な生存戦略を持っているのですね。だから彼らはそう簡単には減らない。ところがミユビによく似た”ハマシギ”という鳥はミユビよりすこし嘴(くちばし)も長くて、主にゴカイを食べています。